【６・アイドル デビュー！？】
それは武闘館でのＭｉｎｋバースディイベントから数日後の事だった。
いつも通り、バイトに出勤したを待ち構えていたのは、勢ぞろいした事務所のメンバーとイリヤだった。
「おはようございます！」
にこやかに挨拶したの肩をがっちり掴み、モトハルはソファに座らせた。同時に他の者がずずいっと身を乗り出す。
「…ど、どーしたんですか！？」
ただならぬ気配を感じ、声を上ずらせるに、モトハルが言った。
「、これは業務命令だ。アイドルデビューしろ」
…その瞬間、の意識は宇宙の彼方に吹き飛んだ。
※※※※※
なんとか落ちついたに、モトハルが事情を説明した。
「今度、サントレイ社が【ＳＹ：Ａ】をシリーズ化して、５つのフルーツティを売り出す事になった。それで、製品のイメージに合う女の子ユニットをデビューさせたいらしい。うちの事務所でＭｉｎｋｌｅと有香、プラスもう１人新人で、ユニットを準備して欲しいって西プロデューサーから申し入れがあった。…で、をデビューさせたいんだ」
「ユニットは半年の期間限定だから、キミの渡米にも支障は起きない。ユニットのプロデュースはもちろんオレがさせてもらうよ」
イリヤが優雅にウィンクする。
「や〜ん♪ 有香、楽しみ〜♪」
有香がはしゃいだ声をあげ、Ｍｉｎｋｌｅがそれぞれ「みんなでがんばろうね」との肩を叩く。
「ちょっと待ってよ」
があせって言いかけたところで、事務所の電話が鳴った。モトハルが素早く電話を取る。
「はい。こちらバード･ミュージック事務所。…え？ 先日の武闘館ライブですか？ …はい、アカペラで『Ｖｅｌｖｅｔ Ａｎｇｅｌ』を歌ったのは、確かにうちの事務所の者です。…いえ、まだデビューはさせてません。…ＣＤ？ いえ、出してません。…はあ、申し訳ありません。…はい、よろしくお願いします」
カシャンと受話器を置いて、モトハルは含みのある笑みをに向けた。
「武闘館イベントからこっち、“マイクひとつでファンの暴走を鎮めたのは誰だ？”って問い合わせがたくさん来てるんだ。の存在は、もう業界では有名なんだよ」
「だけど、ユニットなんて…」
口を開きかけたの目の前に、モトハルはずらずらと数字が並んだ請求書をさしだした。
「それともうひとつ。実は、イベントでファンが暴れたせいで、武闘館側から賠償金を請求された」
集計に並んだ０の数が７つを越えた時点で、は数えるのを止めた。
「ユニットを誕生させて、サントレイ社の契約金が入らないと、事務所は借金で倒産。オレ達は全員、路頭に迷う羽目になる。これでも断るなんて言わないよな？」
全員の視線がに集まる。無言の圧迫に根負けし、は叫んだ。
「分かった。分かりました！ デビューします！ ユニットでもアイドルでもなんでも来い！」
※※※※※
の同意を手に入れ、事務所の全員は仕事に出かけて行き、イリヤも帰っていった。
１人、残されたは憂鬱なため息をついた。みんなの勢いに押されて、ついうなずいたものの、気が重い事に変わりはない。
「…やっぱりデビューなんて無理だよ…モトハルくんの意地悪…」
小声でモトハルの悪口を呟きながら、のろのろと書類の束を整理する。しかし、ついに事務机に突っ伏してしまった。
「…ダメだ。気分が乗らない。…ちょっと休んで、お茶でも飲もう…」
ヤカンにお湯を沸かそうと立ち上がったところ、突然、単調な声が告げた。
「だいぶ、めいっているようだな？」
の目の前、さっきまで誰もいなかった空間に、眼鏡をかけた少年が立っていた。
「鏡！ …どこから出て来たの！？」
は度肝を抜かれ、あんぐりと口を開けた。
「電脳空間からに決まっているだろう？ ここのポイントに座標を合わせるのは簡単な事だ」
タイミングを見計らわれていた感もあったが、愚痴りたい気分だったは、ホッとして尋ねた。
「一緒にお茶でもどう？」
「いや、いらない。違う時空の産物は、時空管理法で飲食を禁じられてる。…だが、話なら聞いてやれる」
と鏡は向かい合って、応接セットに座った。は濃い緑茶、鏡は銀色のパッケージから、得体の知れない液体を飲む。そしては、自分のデビューが決まった顛末を語った。鏡は全部聞き終わると、短く尋ねた。
「…ＷＡＮＮＡ−ＢＥを使わせてやろうか？」
鏡は胸ポケットを探り、みんく達が持っている携帯とそっくりの１台を取り出した。あっさりと応接テーブルの上に投げ出す。
憧れていた未来のソフトが、が手を伸ばせば、すぐに届く位置にあった。
―これさえあれば、Ｍｉｎｋｌｅみたいな理想のスーパーアイドルになれる。…ううん、どんな夢だって叶うんだ―
そう思うと、喉から手が出るほど欲しかった。
だが、手を伸ばしかけた瞬間、の脳裏にみんくの顔が横切った。モトハルに自分の力でチョコレートを渡せた時のみんくの涙。…それはＷＡＮＮＡ−ＢＥでは手に入らない夢もある事を、なにより雄弁に語っていた。
実際にはほんの数分だったのだろうが、永久にも思える長い時間、は携帯と無言でにらめっこしていた。
やがて胸の内に貯めこんだ息を全て吐き出し、は微笑んだ。
「ありがとう、鏡。…でも、私はいいよ。本当はすごく欲しいけど…。どんな時でも“ありのままの自分”でいたいから。…ごめんね」
驚いた事にそれを聞いた鏡は、晴れやかに微笑んだ。携帯を取り上げ、鏡は穏やかに言った。
「…よく言った。これで当座の疑いは晴れたな」
「え？」
「部外者でありながら、Ｍｉｎｋｌｅの秘密を知った者を時空管理局が放っておくはずがないだろう。キミがＷＡＮＮＡ−ＢＥを悪用する危険人物でないかどうか、キミの行動を監視し、それを見極める任務にボクはついている」
鏡の言葉の意味を悟って、の顔から一気に血の気が引いた。力が抜け、どさりとソファの背に寄りかかる。
「…今、携帯を手に取ってたら、私、速攻で消去（デリート）されてたって事！？」
「その通り」
あっさり言って、鏡は腕組みした。
「…そんな…だますなんてひどい！」
思わず拳を握りしめたに、鏡は、待てと言うように片手をあげた。
「まだ疑いは完全に晴れてない。常にＭｉｎｋｌｅと行動を共にしているキミが、今後、誘惑に負けない保証もないからな。…本当は時空管理局が監視している事は、本人には知らせてはいけないんだ。でも、ボクはキミを逮捕したくない。前もって消去（デリート）されると分かっていれば、キミだってこの先、ＷＡＮＮＡ−ＢＥを使おうとは思わないだろう？」
に危険を告げるために、鏡は職務に違反して真実を伝えてくれたらしい。鏡の気持ちを知って、は少し拳を緩めた。だが、まだ納得がいかず、唇を尖らせる。
「…だったら、『…ＷＡＮＮＡ−ＢＥを使わせてやろうか？』なんて言わなくても･･･」
「デビュー前からＷＡＮＮＡ−ＢＥに頼るようでは、どのみち芸能活動なんか無理だ。消去（デリート）されて、芸能界とは無縁の生活に戻ったほうがマシだろう。ボクのＷＡＮＮＡ−ＢＥは、子どもに夢を与えるために開発された“おもちゃソフト”なんだ。大人の現実の代わりにはならない」
鋭い指摘にはうなだれた。だが、鏡は次の瞬間、ふわりと優しく微笑んだ。
「なら断るって信じてたよ。キミは白石みんくの理解者だから」
初めて見た、鏡の極上の笑顔に、はドギマギしてしまった。怒る気も失せてしまう。大きくため息をついて、は笑った。
「鏡にはかなわないな。…ありがとう。手厳しいやり方だったけど、勇気が出たよ。デビューするって引き受けた以上、今の私にできる精一杯でやってみるね」
「その調子だ」
鏡と笑い合い、はいつのまにか、重かった気分が軽くなっている事に気がついた。
※※※※※
それからの話の進み具合は、すさまじい勢いだった。
ＣＭやポスターの撮影。ＣＭソングがユニットデビューシングルとなるため、その録音。雑誌のインタビュー等々。
素人のは、既に歌手デビューを果たしているＭｉｎｋｌｅや有香と、同程度の練習ではとても追いつかなかった。連日、深夜まで１人、スタジオに居残り、イリヤと一対一で、厳しいレッスンを受けた。
イリヤのレッスンは厳しかったが、同時に楽しかった。イリヤはわずかな音のズレも決して聞き逃さないが、ミスに対して理不尽な叱り方はしない。その教え方は分かりやすく、しかも辛抱強かった。
「ＯＫ。今夜はここまでにしよう」
イリヤが電子ピアノから手を放すと、は大きなため息をついてヘッドホンを外した。
「短い間にかなり上達したね。デビューまでもう少しだ。一緒に頑張ろう」
ニコッと笑顔を向けられる。それだけで、１日の疲れが吹き飛んでしまうのだから、も現金である。
「じゃあ、送るよ」
車のキーをジーンズのポケットから取り出したイリヤに、は「はい！」とうなずいた。
女性を夜道に１人で帰すのは心配だからと、イリヤは毎晩、ベンツでの自宅まで送ってくれる。車内でその日のレッスンのおさらいや、ワンポイントアドバイスを受けたり、また時にはたわいないおしゃべりをする。それもまたの楽しみのひとつだった。
が助手席に乗りこむと、運転席のイリヤが何かをひょいと手渡した。
「ちょっと遅れちゃったけど、これをちゃんに」
渡されたのはリボンをかけた包みだった。軽く振ってみると、かすかな音がする。無言で眼を丸くするに、イリヤが説明した。
「初めて事務所に行った時、手作りのケーキを食べさせてもらったけど、あれはバレンタインチョコだったんだろう？ Ｍｉｎｋちゃんから聞いたよ。…だから、遅れちゃったけど、これがオレのホワイトデーのお返し。受け取ってもらえないかな？」
確かにイリヤが食べたのは、事務所のみんなに用意したバレンタインチョコケーキだった。だが、イリヤが食べたのは、たまたま余っていた物にすぎない。
予想もしていなかったプレゼントに、は気恥ずかしさと申し訳なさでいっぱいになった。口ごもりながらお礼を言う。
「…ありがとう、イリヤくん。でも、お返しなんて良かったのに。…だって、あのケーキは…」
「知ってるよ。別にオレのために用意してもらった訳じゃなくて、偶然残っただけだって言うんだろう？ …でも、オレは嬉しかったから。あれがバレンタインチョコだって知って」
「え？ 嬉しいって…どうして？」
はきょとんと小首をかしげて、隣のイリヤを見つめた。イリヤは眩しい笑みを浮かべ、の耳元に顔を近づけた。セクシーヴォイスがささやく。
「来年は、ちゃんの本命チョコが欲しいな…！」
その晩、完全にあがってしまったは、車が自宅前に着くまで、一言も話さなかった。そしてイリヤに短くお礼を言って、運転席の顔を見ないように、逃げるように家の中へ入った。
自分の部屋に戻り、初めてはイリヤのプレゼントをそっと開いた。
翼を模した透明な容器に、色とりどりのハート形をしたキャンディーがいっぱい入っている。添えられた小さなカードをは読んだ。
『レッスンを頑張っているキミが、さらに羽ばたけるように』
キャンディーをそっと１粒つまんで口に入れてみる。ハート形のレモンキャンディはほのかに甘酸っぱく、口一杯に広がるその味が、なぜだかせつなかった。
※※※※※
そしてついに、達のユニットデビュー会見も兼ねる、【ＳＹ：Ａ】シリーズ化発表記者会見が訪れた。
ユニット名は「Ｂｌｏｓｓｏｍ（ブロッサム）」。果実の花を示す名である。５人はそれぞれ異なるカラードレスをまとって登場した。
薄紫色のドレスをまとった、ブルーベリーティーのイメージガールはＭｉｎｋ。
薄緑色のドレスをまとった、アップルティーのイメージガールはＭａｃｏ。
薄青色のドレスをまとった、マスカットティーのイメージガールはＣａｎｏｎ。
薄黄色のドレスをまとった、オレンジティーのイメージガールはＹｕｋａ。
そして薄紅色のドレスをまとった、ストロベリーティーのイメージガールが、である。
大勢の報道陣のカメラが回り、フラッシュがたかれる中、Ｂｌｏｓｓｏｍはポーズを取り、笑顔で挨拶した。
メンバーが次々に挨拶し、とうとうの番が回って来た。
「初めまして。です。憧れの先輩達と一緒にデビューできて夢みたいです。頑張りますので、応援をよろしくお願いします！」
眩しい光を浴びて緊張しながらも、は精一杯微笑んだ。
正直、にはなぜ自分がストロベリーティーの担当になったのか分からなかった。だが、みんくの言葉が、の支えとなっていた。
『あたし、イチゴが大好き！ イチゴは幸せを分けてくれる果物なの。あたし達をいつも元気づけてくれる、ちゃんのイメージにピッタリだよ！』
それは、がストロベリーティを受け持つと知った時、みんくが笑顔で言った事だった。みんくの本当に嬉しそうな笑顔を見て、はみんくや事務所のみんなのために頑張ろうと改めて決意したのだった。
会見は大成功を収め、【ＳＹ：Ａ】新シリーズは爆発的売れ行きを見せた。同時に、Ｂｌｏｓｓｏｍにも仕事が入る。
デビュー後、Ｂｌｏｓｓｏｍに来た、最初の仕事は、夕方にやっている歌と情報の番組“ＷＨＡＴ’Ｓ ＯＮ”。後半に水原愛純が持っている新人タレントのコーナー“フレッシュ☆フェイス”出演の話だった。
※※※※※
「…ここ…どこだろう…？」
は初めてのテレビ局内でうろうろしていた。“ＷＨＡＴ’Ｓ ＯＮ”出演のために、テレビ局へ来たのはいいのだが、局内で迷子になってしまったのだ。
狭い廊下のあちこちに有名人の名前が貼ってある。芸能人達の控え室のある棟に来たのは確かなのだが、肝心の自分達の控え室が分からない。
Ｍｉｎｋｌｅはいつも直接、スタジオ入りするし、有香も別撮りの番組のため、早くに局入りしているはずだった。
「モトハルくんに電話して、迎えに来てもらうかな…。でも、忙しいだろうし…」
悩みながら、廊下の角を曲がったところで、はハッと立ち止まった。
どこかの控え室の前で、男がうずくまっている。が見た時、彼は手元を動かして、ドアの向こうに細い物を差し入れ、手元の機械のスイッチを押したところだった。
慌てて体を引っこませ、顔だけ出して、はそうっと男の様子を見た。イヤホンのようなものをつけ、しきりにうなずいている。作業に集中しているらしく、に見られている事には、まだ気付いていない。
―盗聴！？ …まさか、あそこがＭｉｎｋｌｅの控え室で、みんなの会話を盗聴して、正体を暴こうとしてるんじゃ…！？―
は辺りを見回し、掃除道具入れを見つけた。バケツとモップを両方の手に持ち、頭には持っていたスカーフで姉さんかぶりをする。
掃除道具を取りに来た事務員のような素振りをして、は角を曲がった。
がやって来るのを見つけると、控え室前にうずくまっていた男は慌てて立ち上がった。ちょっと靴紐を直していたのだというような、なにげない素振りで、のほうに向かって歩き出しながら、さりげなく機械をポケットにしまう。
はしらんふりで男の横を通りすぎた。そして、いきなりモップの柄を突き出し、相手の足を絡めとった。
たまらず男は転び、そのポケットから小型の録音機がこぼれ出た。スイッチが押されたらしく、女性の声がいきなり話し出した。
『…“Ｂｌｏｓｓｏｍ”、めざわりだわ。今度こそ芸能界から追い出したいの。有香の話を利用しましょう…』
とっさにそれを拾い上げ、は怒鳴った。
「このストーカー！ なんの話を聞いていたの！？」
物音を聞きつけ、男が盗聴していた控え室のドアが開いた。
「一体、なんの騒ぎ！？」
顔を出したのは水原愛純と、もう１人、の知らない男性だった。男性は転がっている相手を見やると、「チッ」と舌打ちした。
「オレの同業者、手段を選ばないやり方で有名なゴシップ記者だ。…ま、オレにはかなわねーけど」
グラサンをかけたその男性は素早い動作で、男を後ろ手にひねりあげた。男が取り落とした小さなカメラを奪い、データが入っている部分を取り出してから、つき返した。
「…タレント潰しのジョニー堀田からネタを盗ろうなんざ、１０年早いぜ。とっとと失せな」
ジョニ田からカメラを奪い返すと、男は「覚えてろ」と捨てセリフを残して、逃げ去った。
の手の中で、つけっ放しの録音機から愛純の声が流れた。
『…イリヤがと言う子を欲しがってるそうじゃないの。移籍問題にからめて、イリヤとのスキャンダルをモノにしてちょうだい。Ｍｉｎｋの時のような失敗は許さないわよ。お礼はいくらでも払うわ…』
『…おおせのままに、姫君。…あんたに惚れてるって言っても、また冗談にしか受け取ってもらえねーんだろうな。だが、オレはあんたに一生ついていくぜ。どんな道をあんたが選ぼうとな』
ジョニ田の声が答え、カチリという音がして、テープが切れた。
呆然として、はジョニ田と水原愛純とまともに向いあった。皮肉気にジョニ田は言い放った。
「…で、あんたはどうするんだ？ そのテープを持って行けば、こっちを訴える事もできるぜ。もっとも帝国テレビを敵に回して、どれだけ裁判で争えるかは分からねーけどな」
水原愛純は何も言わず、敵意のこもった視線でをにらみつけている。
は録音機をそのまま愛純に差し出した。
「お返しします」
愛純は手を出そうとせず、一息に笑い飛ばした。
「これくらい、どうって事ないって言う訳？ 大した自信ね」
「それとも、お決まりの正義感ってヤツか？ でもな、綺麗事でやって行けるほど、この業界は甘くはないぜ、お嬢ちゃん」
は唇を引き結び、無言で首を横に振った。これ以上話すと、大声で泣き出してしまいそうだった。じわりと涙で潤んだ瞳をぐいと拳で拭うと、は強引に愛純の手に機械を押しつけた。
そして、身を翻し、廊下を行きあたりばったりに走った。やがて階段の前に出た。ちょうど、モトハルが駆け上ってくるところだった。
「あれ？ 、どうしてこんなところにいるんだ？ 控え室は反対方向だぞ？」
「…モトハルくん、良かった。迷子になっちゃって…」
「…目が赤いぞ…？ 泣いてたのか？ どうしたんだ？」
心配そうに覗きこまれ、は無理に微笑んだ。
「なんでもない。迷子になったせいで、ちょっと泣きそうになっただけなの」
「初めての場所で不安になったんだな。すぐオレに電話すれば良かったのに」
モトハルは優しく笑い、の背中を優しくポンポンと叩いた。モトハルに案内され、はようやく控え室に辿り着いた。
※※※※※
番組開始までＢｌｏｓｓｏｍは控え室で、思い思いにくつろいでいた。だが、Ｍｉｎｋｌｅの表情は冴えなかった。
番組の台本を熱心に覚えているに、Ｍａｃｏが話しかけた。
「ちゃん、今日は気をつけたほうがいいよ。水原愛純はＭｉｎｋのデビューの時も、生放送をいい事に、台本にない意地悪な質問をして困らせたんだから」
「あたし達もＭｉｎｋｌｅデビューの時に、アドリブでめちゃくちゃな事を言われたよね」
Ｃａｎｏｎも大きくうなずく。
「え〜？ 有香のデビュー時の愛純さんは、とっても優しかったですよ〜♪」
のほほんと有香が言うが、ＭａｃｏもＣａｎｏｎも思わせぶりに肩をすくめただけだった。更にＭａｃｏは「本当に気をつけてね」と言って、真剣な表情でを見つめた。
「ちゃんには話しておくけど、“Ｂｌｏｓｓｏｍ”デビューの５人目は最初、水原愛純のはずだったの。でも、愛純はサントレイのライバル会社日西紅茶と契約があったから、ちゃんに話が来たんだ。…やっぱり愛純は、ちゃんの事が気に入らないと思うし、きっと集中的に意地悪されると思う」
なぜ愛純に目の敵にされたかを知り、は暗い面持ちになった。
「大丈夫！ ちゃんにはあたし達がついてるからね」
の様子を見て取ったらしく、握りこぶしでＭｉｎｋが明るく言った。みんなが自分を心配してくれている事を悟り、は自然に微笑んだ。
「ありがとう。みんなもいてくれるし、心強いよ。私、頑張るね」
その時、モトハルが控え室のドアをノックした。
「みんな、出番だぞ！ スタジオにスタンバイしてくれ！」
いよいよ愛純との直接対決だった。Ｂｌｏｓｓｏｍの５人は緊張しながらも、立ち上がった。
続く
＜あとがき＞
やっと出ました、あずみんとジョニ田（笑）相変わらずの意地悪な役どころ…。しかもさり気に
らぶらぶ（謎）です（をいこら）あずみん＆ジョニ田ファンの皆様、本当にごめんなさい（平身低頭）
それと、ストロベリーティより他の果物がいいな〜って思われた方も、ごめんなさい。
初めは果物の名前も変換させようかと思ったんですが、他のメンバーの担当と重なると厄介なので、
もうストロベリーティ担当で固定してしまいました。ちなみに神無月が１番好きな果物は梨です（笑）
違う時空の飲食禁止は少年隊主演のＳＦ映画「１９ナインティーン」のイメージから（爆）
相変わらずちっどもドリームじゃないですね。弱気かつ奥手なヒロインですみません（不安）
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