「仙台七夕」（征士）８月５日
「わあ！綺麗！」
次々に上がる花火に私の隣で歓声が上がる。
「征士くんと花火を見られて良かった」
無邪気に笑われて、私は花火に見惚れている振りをする。
「そうだな。晴れて良かった」
「来年もまた来ようね」
「ああ」
今が夜で良かった。浴衣姿に見惚れて、赤くなった顔を気付かれずに済む。
「遼誕」（遼）８月１５日
「お誕生日おめでとう、遼くん」
渡された包みには薄手のジャケット。
「今度、夏山登山に行くんでしょう？」
誘おうと思っていた出鼻を挫かれた。そう思った瞬間、女物のジャケット入りの包みを見せられた。
「一緒に行こうね」
その笑顔が最高の誕生日プレゼントだ。
「秀誕」（秀）９月１日
仕事が終わって、やっとベッドに入った時、携帯が鳴った。
「誰だ、こんな夜中に？」
寝ぼけ眼で出れば「お誕生日おめでとう！」の声。おい、まだ早いぞ。２３時５５分だ。
「８月３１日はI LOVE YOUの日なんだって。最愛のあなたに５分早いハッピーバースデー！」
バァカ。俺だって愛してるよ。
「那唖挫誕」（カップリングなし）１０月８日
「水滸殿からお預かりしました」
人間界の見聞から帰った迦遊羅から、鉢植えをいくつも手渡された。
「はあぶという人間界の薬草だそうです」
受け取れば「那唖挫、誕生日おめでとう」という手紙と効能書きが添えてある。今は友と呼べるあいつも元気でいるのだな。頬が緩んだ。誕生日とやらも悪くない。
「当麻誕」（当麻）１０月１０日
徹夜仕事を終えてベッドに倒れこんだのは覚えている。
目覚めたら枕元のデジタル時計が10月11日午後2時を告げていた。冷蔵庫にはラップのかかったご馳走。ソファーで眠る彼女は疲れ顔。
ごめん。しくじった。
ベッドに戻って気がつく。枕が安眠枕に変わっている事。サンキュ。おかげで良く眠れたよ。